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障がい者雇用の対象企業とは?雇用義務の基準と従業員の数え方
カテゴリー:障がい者雇用とは?
【更新日】2026.10.16

障がい者雇用の義務は、どんな企業が対象になる?
民間企業の法定雇用率は、2026年7月に2.7%へ引き上げられました。
「これまでうちの会社には雇用義務がなかったけれど、今回の引き上げで、障がい者を雇用する必要があるのだろうか?」
こうした疑問を持つ経営者や人事担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自社に雇用義務があるかを判断するには、まず、従業員数の基準と、制度上の人数の数え方を押さえましょう。
雇用義務が生じる基準は、40人以上から37.5人以上へ
障がい者雇用促進法では、企業に対し、雇用する従業員数に応じて一定割合の障がい者を雇用することを求めています。
今回、民間企業の法定雇用率が2.7%に引き上げられたことで、原則として障がい者を1人以上雇用する義務が生じる基準は、常用雇用労働者40人以上から37.5人以上へ変わりました。
雇用する障がい者の人数は、制度のルールに沿って数えた従業員数に、法定雇用率を掛けて求めます。37.5人の場合は「37.5人×2.7%=1.0125人」となり、小数点以下を切り捨てると、法律上雇用が求められる人数は1人です。
この基準は、中小企業にも当てはまります。従業員が増えていなくても、今回の基準の変更によって、新たに雇用義務が生じる場合があります。
「37.5人」は、実際に在籍している人数とは限らない
「人数なのに、なぜ小数があるのだろう」と感じるかもしれません。
これは、制度上、短時間勤務の従業員を原則として0.5人と数えるためです。そのため、実際の在籍人数と、雇用義務の判断に使う人数が異なる場合があります。
「正社員は少ないから関係ない」と判断せず、パートや契約社員も含めて、自社の従業員がどのように数えられるかを調べましょう。
具体的な条件は、次の章で説明します。
制度の全体像を先に知りたい方は、障がい者雇用とは?企業に義務がある理由を解説も参考になります。
雇用義務の有無を判断する従業員数は、どう数える?

従業員数は、原則として同じ法人の本社・支店・店舗など、全拠点を合わせて計算します。一つの店舗では基準に届かなくても、会社全体では雇用義務が生じる場合があるためです。
まず全拠点の従業員情報を集め、雇用条件に応じた数え方を一覧に記入してから、人数を合計しましょう。
全拠点の従業員情報を集める
同じ法人の各拠点から、正社員・パート・アルバイト・契約社員の従業員情報を集めます。
この段階では人数を合計せず、従業員名簿と雇用契約書、労働条件通知書を基に、各従業員の雇用期間と週所定労働時間を一覧に記載しましょう。
週所定労働時間とは、雇用契約などで定められた1週間の労働時間です。
一覧には、後で「算定上の人数」を記入する欄も設けておきます。
雇用期間の条件を満たす従業員を選ぶ
次に、一覧に記載した雇用期間を基に、常用雇用労働者の条件を満たす従業員を選びます。
判断の基になるのは、正社員やパートといった名称ではなく、継続して雇う見込みがあるかなど、雇用期間の条件です。
短期間の雇用など、判断に迷う場合は、契約条件を伝えてハローワークに相談しましょう。条件を満たさない従業員の欄には「計算に含めない」と記入し、条件を満たす従業員については、次の手順で数える人数を決めます。
週所定労働時間に応じた人数を記入し、全拠点分を合計する
雇用期間の条件を満たす従業員について、週所定労働時間を基に、原則として次の人数を一覧に記入します。
| 週所定労働時間 | 算定上の人数 |
| 30時間以上 | 1人 |
| 20時間以上30時間未満 | 0.5人 |
| 20時間未満 | 計算に含めない |
記入が終わったら、「算定上の人数」の欄を全拠点分合計します。
このルールに沿って計算した従業員数を、この記事では「算定人数」と呼びます。
自社に雇用義務があるかは、この算定人数を基に判断します。
自社は対象になる?従業員数の計算例で判断する

ここでは、会社全体の在籍人数が同じ45人でも、勤務時間の内訳によって結果が変わる二つの例を紹介します。
いずれも全員が雇用期間の条件を満たし、業種による除外率(後述)の適用がない場合です。
週30時間以上が30人、週20時間以上30時間未満が15人の場合
それぞれの勤務時間に応じて計算すると、次のようになります。
- 週30時間以上の30人 → 30人×1=30人
- 週20時間以上30時間未満の15人 → 15人×0.5=7.5人
- 合計 → 37.5人
算定人数が基準に達するため、この会社には障がい者雇用の義務が生じます。
週30時間以上が25人、週20時間以上30時間未満が20人の場合
こちらは、0.5人として数える従業員の割合が多いケースです。
- 週30時間以上の25人 → 25人×1=25人
- 週20時間以上30時間未満の20人 → 20人×0.5=10人
- 合計 → 35人
算定人数は35人となり、雇用義務が生じる基準の37.5人には届きません。
このように、同じ在籍人数でも、従業員の勤務時間によって結果が異なります。
雇用義務の生じる基準である37.5人以上になっているかを確かめましょう。
障がい者を何人雇用する必要がある?必要人数の計算方法

自社に雇用義務があると分かったら、次は、法律上何人の雇用が求められるかを計算しましょう。
算定人数に2.7%を掛け、小数点以下を切り捨てる
前の章で求めた自社の算定人数を、次の式に当てはめます。
算定人数×2.7%(小数点以下は切り捨て)
例えば、算定人数が50人の会社と100人の会社では、次のようになります。
- 50人×2.7%=1.35 → 1人
- 100人×2.7%=2.7 → 2人
この計算で求めた人数を「法定雇用障害者数」といいます。従業員数に応じて、法律上雇用が求められる障がい者の人数も変わります。
採用した実人数と、雇用率の計算で数える人数は異なる場合がある
必要な雇用人数が分かっても、その人数を採用すれば、必ず法定雇用率を達成できるとは限りません。
雇い入れた人の障がいの種類や程度、週所定労働時間などによって、計算上何人として数えるかが異なるためです。
例えば、法律上「2人」の雇用が必要な会社で、身体に障がいのある方を2人採用したとします。
2人とも制度上の「重度」に該当せず、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の場合は、それぞれ0.5人として数えます。
合計は「1人分」となり、必要な「2人分」には届きません。
このように、法定雇用率を達成しているかは、採用した実人数ではなく、制度のルールに沿って数えた人数で判断します。
数え方に迷った時は、ハローワークに相談しましょう。
納付金・除外率・合理的配慮は、雇用義務とどう関わる?

最後に、雇用義務の有無を判断する際に、混同しがちな点を説明します。
納付金の基準や除外率などを区別し、自社に当てはまる条件を押さえましょう。
100人以下でも、障がい者の雇用義務は生じる
よくある誤解が、「100人を超えるまでは雇用義務がない」という考え方です。
この「100人」という人数は、障害者雇用納付金の基準と混同されている可能性があります。納付金とは、一定規模を超える企業が法定雇用率を達成していない場合に、不足する雇用人数に応じて納めるお金です。
雇用義務は原則として常用雇用労働者37.5人以上で生じますが、納付金は原則として100人超の未達成企業に納付が求められます。
つまり、納付金を納める義務がない企業でも、障がい者の雇用義務が生じる場合があります。
納付金や行政指導の流れについては、【2024最新】障がい者雇用の法定雇用率とは?目的と計算方法を解説もあわせて読んでみてください。
一部の業種には、人数の計算に関わる除外率がある
一部の障がい者の就業が一般的に難しいとされる業種には、雇用義務や必要な雇用人数を計算する際に、従業員数から一定割合を差し引く「除外率」が設けられています。
除外率が適用されると、計算に使う従業員数が減るため、雇用義務の有無や必要な雇用人数に影響します。ただし、除外率がある業種でも、雇用義務がなくなるとは限りません。
まずは、自社の事業内容をハローワークに伝え、除外率が適用されるか、適用される場合は何%かを確認しましょう。
そのうえで、従業員の雇用期間や週所定労働時間も伝えると、自社の条件に沿った人数の計算方法について説明を受けられます。
37.5人未満でも、差別禁止や合理的配慮の義務はある
「一定人数の障がい者を雇用する義務がない」ことと、「障害者雇用促進法が適用されない」ことは別です。
障害者雇用促進法では、すべての事業主に、障がいを理由とする差別の禁止と、過重な負担とならない範囲での合理的配慮を義務付けています。従業員数が37.5人未満の企業にも、これらのルールは適用されます。(厚生労働省 雇用の分野における障害者への差別禁止・合理的配慮の提供義務https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shougaisha_h25/)
小規模な企業でも、障がいのある方が求人に応募したり、社員として働いていたりすることはあります。その方が選考に参加し、仕事で能力を発揮できるようにするためです。
差別禁止とは、例えば、障がいがあるという理由だけで応募を断ったり、賃金や教育訓練などで不当に不利な扱いをしたりしてはいけないということです。
合理的配慮は、応募や仕事で支障となる事情を改善するための対応です。
例えば、口頭の説明を聞き取ることが難しい方には、筆談や文書で伝える方法があります。本人と話し合い、企業に過重な負担とならない範囲で対応します。
\ 合理的配慮に関してはこちらも読まれています /
合理的配慮とは?-障がい者雇用を成功させる、合理的配慮の重要性と具体的な事例
自社に雇用義務があると分かったら、何から始める?

自社に雇用義務があると分かったら、必要な雇用人数を基に、採用と受け入れの準備を進めましょう。
人数だけを決めて募集を始めるのではなく、任せる仕事や、入社後に支える担当者も決めておくことが大切です。
\ 任せる仕事、仕事の切り出し方についてはこちらも読まれています /
障がい者雇用で業務をどう切り出す?任せる仕事の選び方
障がい者雇用の仕事例10選|任せる業務の選び方と必要な配慮
障がい者雇用で一番多い職業は?障がい種別にみた職業の傾向と企業が任せる仕事の考え方
法定雇用率に基づく雇用人数を経営者や関係部署と共有する
法定雇用率に基づいて計算した雇用人数と、現在の障がい者の雇用状況を、経営者や人事担当者、受け入れに関わる部署で共有します。
追加の採用を進める場合は、採用に向けて動く担当者を決め、準備にかかる期間や予算について話し合いましょう。
任せる業務と、入社後の支援を担う担当者を決める
次に、受け入れ部署と話し合い、どのような仕事を任せるかを具体的にします。
例えば、作業の内容や量、手順、使用する道具などを書き出します。そのうえで、仕事を教える担当者や、本人が困った時に相談する窓口を決めておきましょう。
障がい者雇用は、採用だけで終わる話ではありません。仕事づくり、環境整備、定着支援を担う人員や、それらにかかる費用も含め、各部署の役割と準備の日程を決めます。
業務の組み立て方については、障がい者雇用は何から始める?法定雇用率2.7%に向けた仕事づくりの考え方や、障がい者雇用でミスマッチを防ぐには?障がい特性に合う仕事と支援体制のつくり方も参考になります。
「うちの会社も対象?」を、対応を始めるきっかけに

障がい者雇用の制度を知っても、社内で誰も対応を担っていなければ、日々の業務に追われて準備が後回しになることがあります。
担当者一人が「対応を進めなければ」と感じている段階から、会社として取り組む段階へ進むには、「誰が、いつまでに、何を進めるか」を関係者で決めることが大切です。
まだ答えが出ていない課題も、次に動く担当者と日程が決まれば、具体的な相談につなげられます。
「うちの会社も対象なのだろうか」という疑問を、制度を知るだけで終わらせず、自社で対応を始めるきっかけにしていきましょう。
社内だけで準備が難しい場合は、外部の支援を取り入れる
障がい者雇用の準備を進める中で、任せる業務が決まらない、仕事を教える担当者を確保できないなどといった課題が出てくることもあります。
その場合は、業務の選定や指導体制づくりなど、社内だけでは対応が難しい点を具体的にし、ハローワークや障がい者雇用を支援する事業者に相談する方法もあります。
障がい者雇用を、これからの人員計画に組み込む

自社に雇用義務があるかを調べることは、これからどのような人を迎え、どのような仕事を任せていくかを考えるきっかけにもなります。
今は雇用義務がない会社でも、採用の拡大や従業員の勤務時間の変更によって、判断が変わることがあります。人員計画を見直す際には、障がい者雇用についても話題にしてみてください。
「うちの会社も対象なのだろうか」という疑問から、「どのような仕事で一緒に働けるだろうか」へ。
制度を知った今、その視点を社内で共有することから始めてみましょう。
きいちサービスでは、採用・仕事づくり・環境整備・定着支援をまとめて考えながら、軽作業モデルを軸にした進め方をご一緒しています。
「雇用義務があることは分かったけれど、どんな仕事を任せればよいか分からない」という段階でも、ご相談ください。
障がい者雇用をご検討の企業関係者の方は、まずは一度お気軽にご相談ください。
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