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障がい者雇用は何から始める?法定雇用率2.7%に向けた仕事づくりの考え方 

カテゴリー:障がい者雇用とは?

【更新日】2026.07.17

障がい者雇用は何から始める?法定雇用率2.7%に向けた仕事づくりの考え方 

「障がい者雇用を進めなければいけないことは分かっているけれど、実際にどんな仕事をお願いすればいいのだろう?」

そう感じたことはありませんか。

段階的に引き上げられてきた民間企業の法定雇用率は、2026年7月に2.7%となりました。これにより、障がい者雇用をより身近な課題として考える企業様が増えています。

ただ、「うちも障がい者雇用を進めなくては」と思っても、すぐに採用活動へ進めるとは限りません。

どの仕事をお願いするのか。誰が教えるのか。社内で無理なく続けられるのか。

こうした不安があると、最初の一歩を踏み出しにくくなります。

この記事では、法定雇用率2.7%に向けて、企業様が障がい者雇用を考えるときに押さえておきたい「任せる仕事づくり」についてお伝えします。

法定雇用率2.7%で障がい者雇用が求められる企業は広がる 

これまで対象外だった企業様にも関係してくる可能性があります

民間企業の法定雇用率は、令和6年4月に2.5%、令和8年7月には2.7%へ引き上げられました。

あわせて、対象となる事業主の範囲も変わっています。令和5年度は従業員43.5人以上の企業が対象でしたが、令和6年4月には40.0人以上、令和8年7月には37.5人以上へ広がりました。

これまで「うちはまだ対象ではない」と考えていた企業様も、今後は障がい者雇用について具体的に考えなければならない場面が出てくるかもしれません。

もちろん、制度を正しく知ることは必要です。ただ、法定雇用率の話を「何人雇用すればよいのか」だけで考えると、現場の準備が置き去りになってしまうことがあります。

雇用数の先にある現場の準備を考える

法定雇用率への対応では、必要な雇用数を把握することが出発点になります。

ただし、企業様が準備を進める中でつまずくのは、その先の部分です。

どの部署で受け入れるのか。どんな作業をお願いするのか。社員がどのように関わるのか。長く働いてもらえる環境を用意できるのか。

このあたりを決めないままでは、障がい者雇用を具体的に進めることが難しくなります。

法定雇用率への対応は、雇用数を満たせば終わりというものではありません。

障がい者の方が安心して働ける仕事や環境を、企業様の中でどのように整えていくか。ここまで考えることが、実際の受け入れ準備につながります。

障がい者雇用で企業が最初に感じる不安 

採用の前に「入社後の仕事」を考える

障がい者雇用を考え始めたとき、多くの企業様はまず採用について調べます。

どこに求人を出せばよいのか。どのような方と出会えるのか。面接では、どこまで話を聞いてよいのか。採用に関する準備は欠かせません。

一方で、実際に話を進めようとすると、採用の手前で別の不安が出てくることがあります。それが、「入社後にどんな仕事をどんな風にお願いするのか」という部分です。

受け入れ後の仕事や関わり方が決まらないまま採用だけを進めると、本人にとっても企業様にとっても不安が残ります。

来てもらったものの、任せる仕事が十分に用意できない。現場の社員が、どう声をかければよいか迷ってしまう。忙しい時期になると、作業を教える時間が取れなくなる。

こうした状態が続くと、せっかく始めた障がい者雇用も、長く続けることが難しくなります。

現場に負担が集まらない形を考える

障がい者雇用に前向きな企業様でも、現場の負担を気にされることは少なくありません。

通常業務がある中で、新しく作業を教える。困ったときの相談に乗る。体調や作業の様子を気にかける。必要に応じて業務量を調整する。

こうした役割を、誰がどこまで担うのかが決まっていないと、担当者様だけに負担が集まってしまいます。

障がい者雇用は、善意だけで続けるものではありません。

続けるためには、仕事の内容、関わる人、相談できる場所をあらかじめ考えておく必要があります。

この準備があることで、本人だけでなく、受け入れる側の不安も軽くなります。

障がい者雇用で任せる仕事は日々の業務から切り出す 

「仕事がない」と感じる前に、業務を細かく分けてみる

障がい者雇用を考える企業様からは、「障がい者の方に任せられる仕事がない」という声が出ることがあります。

ただ、日々の業務を細かく見ていくと、社員の方がまとめて対応している作業の中に、切り出せる部分が含まれている場合があります。

たとえば、商品を袋に入れる作業。数を数える作業。ラベルを貼る作業。部品を決まった順番に並べる作業。書類を仕分ける作業。完成品に汚れや破損がないかを確かめる作業。

こうした作業は、普段の業務の中では一つの流れとして行われているかもしれません。

その流れを一つずつ分けて考えることで、「この部分ならお願いできそうだ」と感じられる作業が見つかることがあります。

「簡単な仕事」ではなく「分かりやすく整えた仕事」にする

ここで気をつけたいのは、「簡単な仕事だから、そのままお願いすればよい」と考えないことです。

作業そのものが難しくなくても、手順があいまいなままでは、働く方が迷ってしまう場合があります。

どこから作業を始めるのか。どの状態になれば完了なのか。迷ったときは誰に聞くのか。こうした点が決まっていると、仕事に取り組む方も安心できます。

あわせて、担当する量や休憩のタイミングも、事前に考えておきたいところです。作業量が多すぎたり、休むタイミングが分かりにくかったりすると、本人が無理をしてしまう場合があります。

企業様にとっても、「最初に何をするのか」「どの順番で進めるのか」「どこまで終われば完了なのか」を具体的に伝えられます。

障がい者雇用の仕事づくりは、新しい仕事を無理に生み出すことだけではありません。今ある業務を、任せやすい形に整えることから始められます。

障がい者雇用では軽作業が仕事づくりの入口になる 

手順を分けられる仕事は、受け入れ準備の土台になります

障がい者雇用で任せる仕事を考えるとき、軽作業は一つの入口になります。

たとえば、梱包作業、検品作業、仕分け作業、組立作業、封入作業、ラベル貼りなどです。

こうした作業の中には、一連の流れを細かく分けられるものがあります。

「商品を取る」「袋に入れる」「向きをそろえる」「シールを貼る」「箱に並べる」。

このように工程を分けると、作業の流れを一つずつ確認できるため、障がいのある方も「次に何をするのか」「どこまで進めればよいのか」を理解したうえで取り組めます。 働く方にとっても、自分のペースをつかむための安心材料になります。

軽作業の中でも、合う作業は人によって異なります

軽作業は、障がい者雇用を考える上で入口になり得る仕事です。

ただし、ひとことで軽作業といっても、内容はさまざまです。

例えば「検品」と言っても、大きな傷や汚れを確認する作業と、小さなズレを細かく確かめる作業では、求められる集中力が変わります。

そのため、軽作業を用意するときは、作業名だけで判断しないことが大切です。

どのくらい細かい作業なのか。どのくらいの速さが求められるのか。立ち作業なのか、座ってできる作業なのか。周囲とのやり取りが多いのか、一人で集中する時間が長いのか。

こうした点によって、本人に合う作業は変わります。軽作業を仕事づくりの入口にするなら、本人の特性や体調、得意なことに合わせて、作業の内容や量を考えていくことが大切です。

短時間勤務の障がい者雇用では業務量と作業内容を考える 

働く時間だけを決めても、仕事が合わなければ続きません

障がい者雇用では、短時間勤務から始めることもあります。

厚生労働省の資料では、週20時間以上30時間未満で働く精神障害者について、当分の間、雇入れからの期間に関係なく1カウントとして算定できるとされています。

ここでいう「カウント」とは、法定雇用率を計算するときに、雇用している障がい者の方を何人分として数えるか、という考え方です。たとえば「1カウント」であれば、雇用率の計算上は1人分として扱われます。

また、令和6年4月以降は、週10時間以上20時間未満で働く精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者について、雇用率上0.5カウントとして算定できるようになっています。0.5カウントは、雇用率の計算上、0.5人分として扱うという意味です。

こうした制度の変更を受けて、フルタイムに近い勤務だけでなく、短時間勤務から障がい者雇用を検討する企業様もあるでしょう。 

ただし、勤務時間だけを決めても、その時間内で無理なく取り組める仕事がなければ、働き続けることは難しくなります。

短い時間で区切れる仕事を用意する

短時間勤務では、「何時間働くか」だけでなく、「その時間で無理なくできる仕事は何か」まで考えておくことが大切です。

たとえば、1時間ごとに進み具合を確認できる作業や、途中で引き継ぎができる作業であれば、短い勤務時間の中でも進め方を組み立てやすくなります。

その日の体調に合わせて量を調整できる作業や、始まりと終わりがはっきりしている作業も、短時間勤務と相性があります。

反対に、終わりの基準がはっきりしない仕事や、急な判断が多い仕事、周囲とのやり取りが続く仕事は、負担が大きくなることもあります。

働く時間に合った仕事を用意しておくことが、本人にも企業様にも負担の少ない働き方につながります。

障がい者雇用では仕事内容だけでなく働く環境も整える 

仕事内容とあわせて、働く場所も考えておく

どのような仕事でも、働く環境は大切です。障がい者雇用を考えるときも、仕事内容や作業時間だけでなく、どのような場所で働くのかをあわせて考えておきたいところです。

作業そのものは合っていても、周囲の音や照明、人の出入り、相談できる人との距離によって、落ち着いて作業できる時間や疲れ方が変わる場合があります。

また、作業場所までの距離や、休憩スペースの有無も関係します。

体調に波がある方の場合は、無理をする前に休める場所があるかどうかも大切です。薬を飲む必要がある方であれば、体調の変化に合わせて服薬できるよう、落ち着ける場所、使える給水設備、体調について相談できる人を考えておくことも必要です。

こうした環境面の準備は、働き始めてから慌てて整えようとすると、本人にも担当者にも負担がかかります。採用前の段階で、実際に働く場面を想定しておくことが大切です。

手順や相談先を共有しておく

環境づくりというと、設備や作業場所の整備を思い浮かべるかもしれません。もちろん、作業スペースや休憩場所を整えることも大切です。

あわせて考えておきたいのが、日々の関わり方や作業の進め方です。

日々の関わり方や作業の進め方が人によって変わると、本人も周囲の社員も戸惑ってしまいます。そのため、作業手順や相談先をあらかじめ共有しておくことが大切です。

たとえば、作業手順を紙にまとめておく。困ったときに誰へ相談するのかを決めておく。休憩の声かけを、誰がどのタイミングで行うのかを話しておく。体調がすぐれないときの連絡方法を決めておく。

こうした準備があると、対応する社員によって伝え方が大きく変わることを防げます。

本人にとっても、「困ったときはこの人に聞けばよい」「体調が悪いときはこう伝えればよい」と分かっているだけで、安心して仕事に向き合えます。

障がい者雇用の環境づくりは、大きな設備を整えることだけではありません。毎日の作業や声かけを、無理なく続けられる形にしておくことも大切です。

障がい者雇用を社内だけで抱え込まないために考えたいこと 

障がい者雇用には、始める前には気づきにくい準備があります

障がい者雇用を始めるとき、担当者様にはさまざまな準備が出てきます。

採用に向けた情報収集。求人内容の検討。面談の準備。任せる仕事の用意。社内への説明。働き始めてからの相談対応。

一つひとつは必要なことですが、すべてを担当者様だけで抱えると、大きな負担になります。

特に、初めて障がい者雇用に取り組む場合は、どこまで準備すればよいか分からないことも多いと思います。

「この声かけで合っているのか」「仕事の量は多すぎないか」「どこまで配慮すればよいのか」「現場の社員にどう説明すればよいのか」。

そう感じるのは自然なことです。

担当者様だけが頑張る形にしない

障がい者雇用を続けるためには、担当者様だけが頑張る形にしないことが大切です。

一人の担当者様が、採用も教育も相談対応もすべて背負ってしまうと、長く続けることが難しくなります。また、担当者様が変わったときに、これまでの対応が引き継がれにくくなることもあります。

そのため、仕事の内容や相談先、困ったときの対応を、できるだけ共有できる形にしておくことが大切です。

社内だけで考えることが難しい場合は、外部の支援を活用する方法もあります。

ハローワークでは、障がい者求人の相談や、就職後の職場定着に関する支援を受けられます。地域障害者職業センターでは、職場への適応や仕事の進め方について、ジョブコーチによる支援を受けられる場合があります。

また、障害者就業・生活支援センターでは、働くことだけでなく生活面も含めた相談ができます。障がい者雇用を進める企業に対して、雇用管理や職場定着に関する助言を行っている地域の相談先です。

このほか、障がい者の雇入れや雇用管理について相談できる障害者雇用相談援助事業や、民間の障がい者雇用支援サービスを活用する方法もあります。

すべてを社内で抱え込むのではなく、相談できる先を知っておくことも、障がい者雇用を続けていくうえで大切な準備です。

障がい者雇用は採用後の見直しと定着支援が大切 

働き始めてから分かることもあります

障がい者雇用では、採用前に仕事内容や勤務時間、必要な配慮を考えていても、実際の働き方に合わせて調整が必要になることがあります。

同じ障がい名であっても、疲れ方、得意な作業、苦手な環境、声のかけ方の受け取り方には、一人ひとり違いがあるためです。

最初は予定していた作業で問題がなさそうに見えても、作業量が増えたときに負担が出ることがあります。反対に、働く中で本人に合う作業がはっきりしてくることもあります。

声かけのタイミングや伝え方も、実際に関わりながら少しずつ整えていくことが大切です。

こうした変化は、準備が足りなかったから起こるものとは限りません。採用前に考えた内容を土台にしながら、働き始めてからの様子に合わせて、仕事の内容や声かけの方法を見直していくことが大切です。

長く働くためには、固定しすぎないことも大切です

仕事に慣れてくると、任せられる作業が増えることがあります。

一方で、体調や生活の変化によって、一時的に作業量を減らした方がよい場面も出てきます。

そのため、最初に決めた仕事内容を固定するのではなく、そのときの状態に合わせて考え直すことが大切です。

たとえば、作業の様子を見ながら量を調整する。得意な作業を少しずつ増やす。負担が大きい作業は、進め方や担当範囲を変える。困ったときに相談するタイミングを決めておく。

このように、働きながら少しずつ整えていくことで、本人も企業様も無理を抱えにくくなります。

法定雇用率は、企業が障がい者雇用に取り組むうえで定められている基準です。

ただし、障がい者雇用は、数字を満たすことだけが目的ではありません一人ひとりの得意なことや可能性を見ながら、長く働ける形を考えていくことが大切です。

法定雇用率への対応をきっかけにしながらも、採用した後にどのような仕事を任せるのか、どのように支えるのかまで考えることが、企業様に求められる視点になります。

障がい者雇用を始める前に考えたい3つの準備 

ここまで、障がい者雇用を進めるうえで考えたいことを見てきました。

最後に、企業様が最初に整理しておきたいことを3つに分けて考えます。

1つ目は、どの仕事をお願いするかです。

前半でお伝えしたように、障がい者雇用の仕事づくりでは、日々の業務を細かく分けて考えることが大切です。作業名だけでなく、手順、作業量、完了の基準、相談先まで考えておくと、受け入れ後の準備が具体的になります。

2つ目は、どこで働いてもらうかです。

自社内で働いてもらう場合は、作業スペースや休憩場所、社員との関わり方に加えて、作業場所からトイレや休憩場所までの動線・距離も事前に考えておく必要があります。自社内だけで環境を整えることが難しい場合は、外部の作業場や支援先を活用する方法もあります。

3つ目は、誰が支えるかです。

社内の担当者様が一人で対応するのか。現場の社員と役割を分けるのか。困ったときに相談できる外部の支援先を持つのか。

この部分が曖昧なままだと、働き始めてから困りごとが出たときに、対応が遅れてしまう場合があります。

最初から完璧な仕組みを作る必要はありません。ただ、「困ったときは誰に相談するか」「仕事量を変えるときは誰が判断するか」「現場からの声をどこに集めるか」は、できるだけ早い段階で考えておくと安心です。

まとめ|法定雇用率への対応は働ける仕事づくりから始める 

法定雇用率が2.7%へ引き上げられたことで、障がい者雇用は多くの企業様にとって、より身近なテーマになっています。

ただし、大切なのは数字を満たすことではありません。

障がい者の方が安心して働ける仕事を用意すること。その仕事を無理なく続けられる環境を考えること。企業様の担当者様だけに負担が集まらない形にすること。

こうした準備があってこそ、障がい者雇用は続けていくことができます。

障がい者雇用の形は、企業様によって異なります。自社内で受け入れ体制を整える方法もあれば、外部の支援を活用しながら進める方法もあります。短時間勤務から始める方法もあります。

どの形が合うかは、会社の業務内容や人員体制、用意できる環境によって変わります。

大切なのは、無理に一度で整えようとしないことです。

法定雇用率への対応をきっかけに、企業様にとっても、障がい者の方にとっても、長く続けられる働き方を考えていきましょう。

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