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障がい者雇用で企業が陥りやすい5つの思い込み|本人との行き違いを防ぐ対応策
カテゴリー:障がい者雇用とは?
【更新日】2026.09.29

障がい者雇用で生じる行き違いは、障がいに関する知識が足りないときだけに起こるものではありません。
返事の仕方や質問の有無、ミスの理由など、日々の小さな反応を企業側の基準だけで受け取ったときにも生じます。
障がい者雇用の行き違いは企業側の思い込みからも生まれる

たとえば、本人から質問がないことを「困っていない」と受け取ってしまうと、つまずきに気づかず業務が止まるかもしれません。
「はい」という返事があったから、指示が伝わったと判断する。
実は、本人は次に何をすればよいか分っていないことがあります。
大切なのは、障がい名から本人の行動を推測するのではなく、職場で起きた事実と企業側の受け取り方を分けることです。
たとえば、「作業が止まった」という事実と、「やる気がない」という企業側の評価は、同じではありません。
この記事では、採用後の職場で起こりがちな5つの思い込みを、具体的な場面から解説します。
企業側の思い込み1「質問がないなら困っていない」
業務中に質問が出ないと、内容を理解して順調に取り組んでいるように受け取りがちです。
しかし、質問がないこと=困りごとがないこと、ではありません。
誰に声をかければよいか分からない、忙しそうな相手を止めることにためらいがある、何を質問すればよいか言葉にできない、といった理由で黙っている人もいます。
そのまま時間が過ぎれば、本人は手を止めるか、自分の解釈で続けるしかありません。
具体的な質問で止まっている箇所を把握する
「分からない点はどこですか」と尋ねても、答えが「特にありません」で終わりがちですが、「どの工程まで終わりましたか」「次に何をしますか」と具体的に尋ねると、止まっている箇所を把握できます。
質問の回数だけで意欲や理解度を評価せず、質問する相手とタイミングを先に伝えておきましょう。
本人が声をかけるのを待つだけでなく、担当者から短く声をかける時間を設けてもよいでしょう。
企業側の思い込み2「『はい』と返事をしたなら理解している」
指示を聞いた本人が「はい」と答えると、伝えた内容を理解したと受け取りがちです。
ただし、返事は「聞いています」の意思表示だけかもしれず、手順まで把握した証拠とは限りません。
本人は、相手を待たせたくない、何度も聞き返すのが申し訳ない、と感じて返事をすることもあるでしょう。手順書があれば「読めばわかるかも」と考えてしまうことも。
その後に動けなかったとしても、返事が嘘だった、やる気がなかったと結論づけるのは早計です。
指示の後もう一度確かめる
指示の後は、「最初に何をするか教えてください」「終わったら誰に伝えますか」と、次の行動を本人の言葉で話してもらいます。
その際は、伝え方に不足がなかったかを双方で確かめるために尋ねますが、と前置きしてからたずねましょう。
企業側の思い込み3「ミスを繰り返すのは本人の注意不足」
特定の箇所でミスが続くと、「前にも伝えたのに」「もっと注意してほしい」と、本人の注意不足だけが原因だと思いがちです。
しかし、本人に注意を促すだけでは、ミスを招いた可能性のある職場側の指示方法や業務手順は改善されず、再び間違うおそれがあります。
注意不足と決める前にミスが起きた状況をたどる
たとえば、指示を受けてから業務を始めるまでに別の用事が入ると、伝えられた内容の一部が抜けることがあります。
これは誰にでもありがちなことです。
見本と実物の形が違えば、どの部分を参考にすればよいか迷うでしょう。
作業完了の基準が言葉だけで伝えられている場合も、指示した側と受ける側で完成の基準がずれる可能性があります。
仕事量が増えた日に限って誤りが生じるなら、本人の集中力だけでなく、業務量や作業時間が負担になっていないかを調べる必要があります。
注意の回数を増やす前に、ミスの直前に何があったかをたどる
「ミスをした」という結果だけでなく、担当した時刻、仕事量、指示の方法、迷った箇所を記録します。
複数回の記録に共通点があれば、見本を実物に近づける、完了例を示す、途中で別業務を挟まないといった対策につなげられます。
企業側の思い込み4「配慮の申し出がないなら対応は不要」
本人から配慮の申し出がなければ、会社側で対応することはないと思うかもしれません。
しかし、本人が仕事上の困りごとを感じていても、会社にどのような対応を求めれば解決できるのか分からないことがあります。
必要な対応が分かっていても、以前の職場で申し出を断られた経験や、採用・評価への影響に対する不安から話せない人もいます。
入社したばかりで周囲との関係ができておらず、相談をためらうこともあるでしょう。
そのため、申し出がないという事実だけで、「支援は要らない」と断定するのは適切ではありません。
障がいの詳細ではなく仕事上の困りごとを聞く
本人と話すときは、障がい名や症状の詳細ではなく、仕事のどの場面で困っているのかに焦点を当てます。
「どの工程で手が止まるか」「どのような対応があれば業務を続けられるか」と具体的に尋ね、必要な対応を本人と一緒に探ります。
企業側の思い込み5「仕事内容や配慮は変えないほうがよい」
「変更は本人を混乱させるのではないか」という気遣いから、仕事内容や配慮を採用時とずっと同じにしている企業もあるでしょう。
ただ、面接や短期間の実習だけでは、一定時間働いたあとの疲れ方や、力を発揮できる工程、負担が生じる仕事量まで把握することは難しいです。
仕事に慣れて担当できる範囲が広がることもあれば、繁忙期に仕事量が増えて負担が表れることもあります。
周囲の人員や設備が変われば、担当業務は同じでも、指示の受け方や作業手順、相談できる相手が変わります。
仕事内容や配慮について話し合う時期を決めておく
採用時に決めた仕事内容や配慮にとらわれず、次のような時期に本人と話し合う機会を設けます。
- 入社後、実際の業務を一通り経験したとき
- 担当業務や勤務時間を変更したとき
- 繁忙期に入る前と、繁忙期が終わった後
- 本人や現場の担当者から困りごとが挙がったとき
話し合いによって仕事内容や配慮を変更した場合は、本人と担当者の双方が後から振り返れるように記録します。
企業側の思い込みに気づくため、事実と解釈を分けて記録する

問題が起きたとき、「集中力がない」「指示を聞かない」といった短い言葉で記録すると、その評価だけが後の担当者へ引き継がれます。
実際には、次の指示が出ていなかったり、仕事量が負担になっていたりしても、本人の能力や姿勢に原因があるかのように受け取られかねません。
本人への評価ではなく、起きた事実を記録する
企業側の推測と実際に起きたことを区別するため、本人への評価ではなく、そのときの状況を具体的に記録します。
- 担当していた業務と仕事量
- 指示を出した時刻と伝達方法
- 本人の手が止まった工程
- 本人が話した困りごとや理由
- 担当者が行った対応と、その後の変化
たとえば、「集中できなかった」ではなく、「午後3時、封入を30部終えた後、次の指示が出るまで10分間作業が止まった」と残します。
状況を具体的に記録すれば、仕事量を調整する、指示を出すタイミングを決める、相談先を明確にするなど、必要な改善策を本人と話し合えます。
障がいの一般例を本人に当てはめない

「障害 例」と検索すると、障がいごとの特徴や困りごとの例を知ることができます。
こうした情報は、本人へ尋ねる項目や職場で注意する場面を知る手がかりにはなります。
ただし、一般的な例と本人の行動が似ているからといって、理由まで一致するとは限りません。
「質問がない」こと一つを取っても、指示内容を十分に理解しているから質問しない人もいれば、相談先が分からない/どう尋ねていいかわからないという人もいます。
「この障がいの人の多くの行動や思考パターンはこう」というような障がいに関する基礎知識は、本人を分類するためではなく、企業側の思い込みに気づくために使います。
一般的な特徴を本人へ当てはめるのではなく、職場で起きた事実をもとに本人と話してください。
本人の反応だけで理由を決めつけず、指示の内容や仕事量、相談できる環境など、ほかに原因がなかったかをたどることが、行き違いを減らす第一歩です。
障がい者雇用に携わる者として、障がいがあっても、障がいばかりに捕らわれずその人個人を理解するように努めていただきたいと思います。
よくある質問

Q1. 本人に理由を尋ねても「分かりません」と言われた場合は、どうしますか?
A1. その場で答えを求め続けるのではなく、業務を始めた時刻、受けた指示、手が止まった工程、その前後に起きたことを本人と一緒にたどります。
本人自身も、困った理由をすぐに言葉にできるとは限りません。
仕事量を減らす、指示を書面で渡すなど、一度に一つの方法を試し、その後の変化から負担の原因を探ります。
Q2. 配慮や業務手順を変更した後は、何を基準に効果を判断しますか?
A2. ミスの回数だけで判断せず、作業が止まる時間、質問できた回数、疲れ方、予定した仕事を終えられたかなど、変更前後の違いを記録します。
一日だけの結果で結論を出さず、本人の感想と業務上の変化の両方をもとに、続けるか、さらに変更するかを話し合います。
Q3. 本人に関する記録は、社内の誰まで共有すればよいですか?
A3. 記録した内容を、関係のない社員にまで広げる必要はありません。
業務を指示する人や日々の相談を受ける人など、本人の仕事を支えるために情報を必要とする担当者に共有します。
障がいの詳しい内容ではなく、「指示は一つずつ伝える」「変更がある場合は事前に知らせる」など、業務上必要な対応を中心に伝えます。
Q4. 担当者によって指示や対応が異なる場合は、どうすればよいですか?
A4. 本人への指示方法、困ったときの相談先、業務を変更する際の伝え方を社内で決めます。
担当者が替わるたびに対応が変わると、本人がどの方法に従えばよいか迷うためです。
決めた内容は担当者間で共有し、実際の業務に合わない点があれば、本人の話も聞きながら修正します。
Q5. 社内だけでは対応方法を決められない場合、どこへ相談できますか?
A5. 障がい者の採用や雇用制度についてはハローワーク、雇用管理や職場での対応については地域障害者職業センター、職場定着や関係機関との連携については障害者就業・生活支援センターへ相談できます。
相談内容に応じて、適した窓口を選びましょう。
社外へ相談するときも、障がい名だけを伝えるのではなく、職場で起きていることや、すでに試した対応を具体的に伝えると、適切な支援を受けやすくなります。
まとめ|本人の反応を決めつけず、職場で起きた事実をたどる
質問がない。
「はい」と返事をした。
ミスを繰り返した。
配慮の申し出がない。
こうした反応だけでは、本人が業務内容をどこまで理解しているのか、仕事に取り組む意欲はどうなのか、何らかの配慮を必要としているのかまでは分かりません。
質問や申し出がない背景に、相談する相手やタイミングが分からない、うまく言葉にできないといった事情が隠れている場合もあります。
本人の意欲や性格に原因があると決めつけず、いつ、どの業務で、何が起きたかを具体的にたどります。
そのうえで本人の話を聞けば、指示の方法、仕事量、相談先など、変更する箇所をより正確に絞りこめます。
思い込みを完全になくすことより、思い込みで結論を出していないか立ち止まる仕組みを持つことが大切です。
きいちサービスも、企業と働く本人の双方が無理なく続けられる仕事の形を一緒につくります。
障がい者雇用を始めたい企業の不安を、軽作業モデルでまるごと支えるサービスについても、ご希望に応じてご相談いただけます。
障がい者雇用をご検討の企業関係者の方は、まずは一度お気軽にご相談ください。
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