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障がい者雇用でミスマッチを防ぐには?障がい特性に合う仕事と支援体制のつくり方
カテゴリー:障がい者雇用とは?
【更新日】2026.07.31

焦って「人数」だけを追いかけていませんか?
障害者雇用を進めたいと思いながらも、「社内に任せられる仕事が見つからない」「専用の作業場所を作る余裕がない」「サポート役に回せる社員がいない」といった壁にぶつかり、頭を悩ませている企業は少なくありません。
法定雇用率の引き上げなどに伴い対応を急ぐ企業が増える一方で、肝心の「採用後の仕事」や「サポート体制」が置き去りになってしまっているケースも見受けられます。
ですが、とにかく採用人数だけを優先してしまうと、本人は職場で自分の役割を見失ってしまい、現場では特定の社員だけにフォローの負担が偏るといった事態に陥りがちです。
担当する業務や働く環境が本人の特性と合っていなければ、体調の悪化や業務の停滞、さらには早期離職という悲しい結果にもつながりかねません。
そこでこの記事では、なぜ「本人の特性に合った仕事」を用意することが大切なのか、そして社内の実務負担を上手に抑えながら直接雇用を進めていくための具体的なステップを解説します。
障がい者雇用でミスマッチが起こる原因は仕事と職場環境の不一致

障がい者雇用のミスマッチは、本人が持つ力と、企業が用意した仕事や職場環境との組み合わせが合わず、勤務の継続が難しくなり起こる場合があります。
たとえば、「パソコン操作ができる」と聞いてデータ入力を任せたとします。しかし実際の業務に、電話・来客対応や突発的な依頼まで含まれていた場合、本人はマルチタスクに対応しきれず強いストレスを感じてしまいます。企業側も「期待通りに動いてくれない」と不満を抱くようになり、結果として双方にとって不幸な離職へとつながってしまいます。 。
一方で、口頭指示を覚えるのが苦手でも、写真付きの手順書と固定された作業内容があれば正確に業務をこなせる人もいます。また、立ち仕事が難しくても、座って行う検品や封入作業であれば十分に力を発揮できるケースもあります。
同じ能力でも業務条件によって働き方は変わる
その差を生んでいるのは、本人のやる気ではなく「どんな条件で働くか」です。
作業内容はもちろんのこと、1日の目標件数や締め切り、周囲の雑音、人の出入り、休憩のタイミング、さらには「困った時に誰に聞けばいいか」まで具体的に決めておくことで、「入社前のイメージと違う…」というギャップをと減らせます。
だからこそ企業側も、「何ができるのか」だけでなく「どういう環境なら力を出しやすいか」まで、丁寧に見極めていくことが大切です。
「パソコンが使える」といった大雑把な言葉で、本人のできることを分かった気にならず、実際の現場でどう動くかを、具体的イメージを持つことで、任せる仕事の範囲や必要な配慮が見えてくるはずです。
障がい者の特性は診断名ではなく職場での行動から捉える

同じ障がい名であっても、仕事で「どこがつまずきポイントになるか」は人それぞれ違います。
「発達障がいだから単純作業が得意だろう」
「精神障がいだから人と関わる仕事は無理だろう」
こういった決めつけは禁物です。身体障がいにしても、移動のしやすさや体勢、手先の動かしやすさ、疲れやすさによって、現場で必要なサポートはまったく変わってきます。
採用の段階から本人や支援機関にしっかり耳を傾け、次のような点を確認していくことが大切です。
- 一度に受け取れる指示の量
- 口頭、文章、写真のうち、内容が伝わる方法
- 集中が続く時間と休憩を入れる目安
- 音、光、におい、人の出入りによる負担
- 通院や服薬と勤務時間の関係
- 作業が止まったときに本人が出すサイン
- 過去の職場や実習で続けられた作業
- 作業中の助けとなった道具や声かけ
診断名ではなく職場で起こる場面を共有することが大切です。
障がい特性に合う仕事を用意する5つの手順

1.各部署から定型業務を集める
いきなり「1人分の仕事」を丸ごと作ろうとすると、なかなか継続して任せられる業務が見つからずに行き詰まってしまいがちです。
まずは、各部署で日常的に発生している定型作業を少しずつ集めることから始めてみましょう。
「営業部の資料封入」「総務部の郵便物仕分け」「製造部の部品検品」「物流部のラベル貼り」など……
一つひとつは短時間で終わる作業でも、集めて組み合わせれば立派な「1人分の継続的な仕事」になります。
正社員が本来業務の合間にバタバタとこなしている雑務や、外注している単純作業なども絶好の候補です。
このとき大切なのは、作業時間だけでなく「発生するタイミング」までセットで洗い出すこと。
作業が発生する曜日、月ごとの量、納期、道具の準備や受け渡し手順まで具体的に書き出してみます。
たとえば「毎週1時間の作業」が10個あっても、すべて月曜日に集中していたら、火曜日以降の仕事がなくなってしまいます。
発生時期と量を一覧で見える化して初めて、1週間を通してムラのないスケジュールが組み立てられるようになります。
2.一つの業務を短い工程へ分ける
たとえば「商品の発送準備」という仕事ひとつをとっても、棚から商品を取り出し、数を数え、傷や汚れをチェックし、袋に入れてラベルを貼り、箱に詰める……といったいくつもの工程で成り立っています。
これらを丸ごと一括で任せるのではなく、本人の「得意な動作」に合わせて担当を切り分けるのがポイントです。
数字に強い人には数量チェックを、細かな違いに気づける人には検品を任せ、重い箱の運搬は別の社員がサポートする、といった形です。
工程を細かく分解しておくと、教える際も一つずつ段階を踏んで伝えられますし、万が一ミスが起きたときも「どこでつまずいたのか」が一目瞭然になります。
数え間違いが多いなら「10個ずつのトレーに分ける」、ラベルが傾くなら「貼る位置にガイド用の枠を書いておく」といったように、作業全体を壊さずピンポイントで改善できるのも大きなメリットです。
ただし、細分化しすぎると「今自分が何のためにこの作業をしているのか」が見えにくくなることもあります。
最初に完成品を見せたうえで、「自分の作業が次の人にどう引き継がれるのか」まで伝えておくと、本人が自分の役割と仕事の意味を理解した上で、納得感を持って取り組めるようになります。
3.仕事が求める力と本人の特性を照らし合わせる
「検品」や「データ入力」といったざっくりとした業務名だけでは、本当にその人に合った仕事かどうかは見極められません。
同じ名前の業務でも、求められるスピードや作業する姿勢、その場の判断の多さ、さらには周囲の雑音や人の出入りといった環境によって、本人が感じる負担はまったく違ってくるからです。
だからこそ、仕事に必要な「具体的なアクション」と「働く環境」を細かく洗い出し、本人の得意・不得意と照らし合わせるステップが欠かせません。
たとえば検品作業なら、「見本と見比べる」「細かな傷や汚れを見つける」「一定のペースで黙々と繰り返す」「ルール通りに不良品を仕分ける」といった要素に分解できます。
それに対して本人の特性も、「形や色の違いにすぐ気づける」といった得意な面だけでなく、「細かいものを見続けると目が疲れやすい」「急かされるとパニックになってミスが増える」など、実際の現場でどうなるかがリアルにイメージできる言葉で書き出してみる。
このすり合わせを行うことで初めて、精度の高いマッチングが可能になります。
4.比較した結果を担当工程や働き方へ反映する
仕事に必要な「動作や環境」と、本人の「得意・不得意」を照らし合わせることで、任せる工程や働き方をぐっと具体的に決めることができます。
たとえば、長時間の座り仕事で腰や体に痛みが出てしまう人なら、「座って行う検品作業を20分やったら、立ち上がって完成品を運ぶ工程を挟む」といった工夫ができます。
また、スピードを求められると焦ってミスが増えてしまう人なら、単に「時間内に何個こなせたか」だけでなく、「不良品をどれだけ正確に見抜けたか」という精度を評価の基準にするのが効果的でしょう。
業務を任せるうえで本当に重要なのは、仕事そのものの難易度ではなく、「求められる動作や環境が、本人の特性に合っているかどうか」です。
もし負担となる条件がいくつも重なってしまう場合は、無理にその業務にこだわり続ける必要はありません。
同じ部署内の別の工程や、他部署で発生している定型業務への変更も視野に入れましょう。
合わない仕事を無理に続けるよりも、本来の力を発揮できる場所へスムーズにスライドした方が、本人の体調悪化やミスを防ぐことができ、結果として現場全体の品質維持にもつながります。
5.実習や短い試行期間を設ける
面接だけで「仕事に合うかどうか」を見極めるのは限界があります。
できれば支援機関と連携した職場実習や、採用後に短期間のお試し期間(試行期間)を設けるのがおすすめです。
実際に現場で手を動かしてもらうと、「説明を受けた後の動き出し」「疲れが出始める時間帯」「質問してくる頻度」「作業ペースの変化」など、面接では分からないリアルな姿が見えてきます。
初日は無理をせず、「手順通りに進められるか」「体調を崩さずに一日を終えられるか」を第一に見守りましょう。
そのうえで、本人の感想と現場の観察記録を持ち寄り、作業量や担当工程、休憩のタイミングを微調整していきます。
記録をつける際は、「できなかったこと」だけでなく「工夫を加えた後の変化」を残しておくのがコツです。
「口頭で指示したときは着手まで10分かかったが、作業カードを渡したらすぐに取りかかれた」といった記録があれば、そのまま採用後のコミュニケーションのヒントになります。
また、一度決めた仕事の範囲をずっと固定しておく必要もありません。
仕事に慣れるにつれて任せられる工程が増える人もいれば、季節や体調によって負担感が変わる人もいます。
週単位や月単位で定期的に勤務状況を振り返り、遅刻・欠勤や作業ミスが増えてしまう前に、早め早めの条件調整を行っていくことが大切です。
障がい特性に合う軽作業を選ぶ条件と工程の決め方

専門職やデスクワークの仕事を新しく用意するのが難しい企業にとって、袋詰めや部品の組み立て、検品、封入、ラベル貼りといった軽作業は、直接雇用をスタートする絶好のきっかけになります。
作業工程を細かく分けやすく、本人が担当する範囲を「ここからここまで」とはっきり示せるからです。
ただし、「障がい者雇用だから、とりあえず軽作業を任せよう」と一括りにするのは少し危険です。
軽作業であっても「その作業で本当に求められる動作は何か」を丁寧に見極めることが大切です。
軽作業には、細かい部品を扱うなら手先の器用さや視力が必要ですし、立ち仕事なら相応の体力も求められます。
工場などの機械音が響く場所では、音への耐性が欠かせないケースもあるでしょう。
また、一見単純に見える反復作業であっても、「数を正しく数える」「品質の基準を理解する」「同じ姿勢を保つ」といった複数の要素が組み合わさっています。
軽作業を選ぶ際は、作業名だけでなく、次の条件まで定めます。
- 座位と立位のどちらで行うか
- 1回の作業時間を何分にするか
- 1箱あたりの数量をいくつにするか
- 完成品の見本をどこに置くか
- 不良品を見つけた後、誰へ伝えるか
- 作業の終了をどの方法で知らせるか
- 疲れや体調不良を感じた際、どこで休むか
作業量とゴールを「具体的な数字」でセットする
袋詰め作業を頼むときに「100個終わるまでやって」とだけ伝えると、本人はどれくらいのペースで進めればいいのか、どこで区切って休憩を挟めばいいのか迷ってしまいます。
そこで「まずは20個で1セット。
終わったら担当者に声をかけて渡す」というルールにしてみます。
こうして小さく区切ることで、本人は見通しを持って作業を進められるようになります。
現場の担当者にとっても、20個単位でチェックできれば、数え間違いや仕上がりの不備にすぐ気づくことができます。ミスがあったとしても早いうちに手順を教え直したり、指示の出し方を工夫したりできるわけです。
もし本人が1日の全体量をイメージしにくい場合は、「午前中に3セット、午後は体調を見ながら2セット」のように、時間帯ごとの目安まで提示するなら、本人の安心感につながります。
作業量とゴールの基準を明確な「数値」で決めておくこと。
そうすれば、本人は休憩のタイミングや次の行動を自分で判断できるようになりますし、現場側も指示出しのタイミングをチーム内で統一できるため、「担当者によって言うことが違う」といった混乱も防げます。
障がい者雇用では勤務場所と支援体制も仕事と一緒に決める

障がい者雇用では、どんな仕事を担当するかだけでなく「どこで働くか」「どんなサポート体制があるか」も、長く働き続けられるかを大きく左右します。
もし作業自体は本人にぴったり合っていても、移動の負担が大きかったり、周りの雑音や人の行き来が気になったり、困ったときに相談できる人がいなかったりすると、少しずつ体調やパフォーマンスに響いてしまうからです。
働く場所を決めるときは、事前のチェックが欠かせません。
通路の幅や段差、トイレまでの距離といった導線をはじめ、室温、照明の明るさ、周囲の音、人の通り激しさなどをあらかじめ把握しておきましょう。
こうした、ちょっとしたことと思われそうなことが、本人のパフォーマンスにとても大きな影響があります。
とはいえ、わざわざ特別な個室を用意する必要はなく、「デスクの向きを壁側にする」「出入り口から離れた席にする」「作業中のイヤーマフ着用をOKにする」「落ち着ける休憩スペースを決めておく」といった工夫だけで、環境はぐっと改善します。
また、サポート体制についても、担当者がずっと付きっきりになる必要はありません。
「本人が1人で集中して進める時間」と「社員がフォローに入るタイミング」をあらかじめ決めておけば十分です。
たとえば、「朝にその日の作業量を伝え、お昼に進み具合を確認し、退勤時に完成数を一緒にチェックする」といった流れを作っておけば、お互いに無理のない距離感でスムーズに業務を回せるようになります。
「相談するタイミング」と「伝え方」まで具体的に決めておく
職場側が「困ったことがあればいつでも声をかけてね」と伝えるだけでは、本人は『どのタイミングで声をかけるべきか』が判断できないことがよくあります。
そこでおすすめなのが、「作業の手が5分以上止まったら」「見本と違うものを見つけたら」「体に痛みや強い疲れを感じたら」というように、SOSを出すタイミングを具体的にルール化しておくことです。
あわせて、「誰に・どんな方法で伝えるか」もあらかじめ決めておきましょう。
直接口頭で伝えるのが苦手な方の場合は、「(ヘルプが欲しいことを示す)専用のカードをデスクに置く」「社内チャットで定型文を送る」「作業日誌にマークをつける」といった方法を取り入れると、ぐっとハードルが下がります。
また、現場の社員同士で共有する情報についても、診断名を広める必要はありません。
「指示は一度に一つまで」「変更点は作業カードに書いて渡す」「完成品は青い箱に入れる」といったように、実際のサポート手順を具体的に共有することが大切です。
誰が担当になっても同じ対応ができるようマニュアル化しておけば、担当者が変わった日でも本人が混乱せず、指示の食い違いによる作業のやり直しも防ぐことができます。
社内で仕事や支援人員を用意できない企業が外部支援を活用する方法

「社内に作業スペースを作れない」
「定型業務が少なくて仕事を出しづらい」
「日々のフォローを担当できる社員がいない」
このような悩みを抱えているなら、外部の支援事業者をうまく活用するのも一つの方法です。
たとえば、企業側が障がいのある方を直接雇用し、作業場所や日々のサポートは外部事業者が提供する仕組みなどを利用する形です。
この方法を使えば、自社で新たに作業スペースを整えたり、現場の社員がつきっきりで指導したりする負担をぐっと抑えられます。
ただし、雇用契約の締結や給与の支払い、健康管理、合理的配慮の提供といった最終的な責任は、あくまで雇用主である自社にあることを忘れてはいけません。
サービスを導入する際は、あらかじめ「自社がやること」と「支援事業者がやること」の役割分担を明確にしておくことが成功のコツです。
採用面接には誰が同席するのか、勤怠の管理方法や欠勤連絡のルール、急な体調不良やトラブルが起きた際の連絡ルート、日々の勤務状況の報告方法などを細かく取り決めておけば、スタート後の「こんなはずじゃなかった」という行き違いを未然に防ぐことができます。
自社に不足する役割に合わせて外部支援を選ぶ
障がい者雇用の進め方や定着支援に悩んだら、ハローワークや地域障がい者職業センター、就労移行支援事業所などの専門機関を頼りましょう。
求職者の紹介だけでなく、職場実習や業務選定、ジョブコーチによる指導まで幅広くサポートしてくれます。
活用する際のポイントは、「丸投げ」ではなく「自社に足りない『仕事・場所・人手』のどこを補うか」を明確にすることです。
「仕事はあるが指導員がいない」のか、「フォロー体制はあるが作業スペースがない」のかで、選ぶべき支援は変わります。
ノウハウがない企業ほど、募集前から支援機関に入ってもらい「自社と外部の役割分担」を明確にしておきましょう。
勤怠連絡や緊急時対応、指示出しの手順まで先に固めておくことで、採用後の現場の混乱を未然に防げます。
まとめ:障がい特性に合う仕事が長く続く雇用を支える
障がい者雇用は、「採用して終わり」ではありません。
本人が自分の役割を実感しながら働き、企業側も無理なく雇用を継続できる体制を整えて初めて、息の長い安定した雇用につながります。
採用前には、任せる業務を工程ごとに分解し、求められる動作や職場環境が本人の特性と合っているかをすり合わせましょう。
同時に、働く場所や休憩の取り方、SOSを出す相手、サポートする社員の役割まで具体化しておくことが大切です。
もし社内だけで「仕事」「場所」「人手」を揃えるのが難しいなら、不足している部分を補ってくれる外部の支援機関に頼るのも賢い選択です。
まずは各部署から日々の定型業務を集め、発生する曜日や量、締め切りをリストアップすることから始めてみてください。
そのうえで、「本人がどこで、誰から指示を受け、どの作業を担当し、困ったときに誰へ伝えるか」という1日のリアルな流れを思い描いてみましょう。
勤務が始まってからも、現場での観察と対話を重ねながら、作業量や指示の出し方を少しずつ調整していくこと。
この丁寧な積み重ねこそがミスマッチを防ぎ、お互いにとって心地よい障がい者雇用を支える大きな力となります。
きいちサービスは、「企業型障がい者就労支援サービス」を通じて、外部支援として企業様の障がい者雇用のお手伝いをしております。
障がい者雇用をご検討の企業関係者の方は、まずは一度お気軽にご相談ください。
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