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障害者雇用の定着率アップー企業が知っておくべきことと成功事例
カテゴリー:障がい者雇用とは?
【更新日】2025.03.28

こんにちは。企業型障がい者就労支援サービスを事業としているきいちサービスです。
障害者雇用は、企業の社会的責任を果たすだけでなく、様々な才能を持つ人々が協力し合うことで新しい発想や業務改善を生み出す可能性を秘めています。
ですが、採用した人が長く活躍し続けるためには、職場環境やサポート体制など解決すべき課題も存在します。
本記事では、初めて障がい者雇用に取り組む企業に向けて、定着率向上のための具体的なステップを、採用前、採用中、採用後の各段階に分けて解説します。
障がい者雇用定着率とは
障がい者を雇用した企業で、採用された障がい者が継続して就労している割合を指します。
現状としては、全体として就職後3ヶ月時点で約80.5%、就職後1年時点で約61.5%となっています。
障がい者の定着率
障がい者の職場定着率について過去3年間、障がい別に見てみましょう。
年 | 身体障がい者 | 知的障がい者 | 精神障がい者 | 発達障がい者 |
2021年 | 60.8% | 68.0% | 49.3% | 71.5% |
2022年 | 60.8% | 68.0% | 49.3% | 71.5% |
2023年 | 58.4% (一般企業平均) | 68.0% | 49.3% | – |
2021年には、精神障がい者の定着率が特に低く、職場環境や人間関係が離職の主な理由とされています。
2022年も同様の傾向が続き、特に小規模企業での定着率が低いことが指摘されています。
全体として、障がい者の雇用は増加傾向にあるものの、定着率の向上には職場環境の改善や支援体制の強化が求められています。
特に精神障がい者に対する支援が重要視されています。
採用前
受け入れ環境を整える
障がい者雇用を成功させるには、全社員が障がいを持つ従業員を尊重し、サポートできる環境づくりが不可欠です。
そのため、まず社内研修を通じて、障がいに対する理解を深め、誰もが働きやすい職場文化を醸成することが重要です。

次に、職場環境の整備も不可欠です。
具体的には、障がい特性に応じてバリアフリー化や点字表示、音声ガイダンスシステムの導入など、必要な補助器具を適切に設置することが求められます。
さらに、体制面においても、柔軟な勤務体制の整備や、円滑な意思疎通を実現するための通訳者やツールの導入も重要な要素となります。
また、地域の障害者就労支援センターなどの専門機関との連携も効果的です。
これらの機関から障がい者の受け入れに必要な準備に関する専門的なアドバイスを受けることで、障がい者雇用をよりスムーズにスタートすることができます。
このような全体を視野に入れたあらゆる側面からの取り組みによって、障害のある方の雇用がより円滑に進み、その効果を実感できるようになると期待されています。
採用中
多様性を尊重した選考を
職務設計: 障がい特性を考慮し、その人の強みを活かせる業務を設計しましょう。

<< 表の見方 >>
特性:それぞれの障害の特徴的な能力や傾向です。
強み:特性から生まれる、仕事で活かせる能力です。
活かせる業務:強みを活かせる可能性のある具体的な仕事です。
これらの例は一般的なものであり、個人の能力や興味によって適性は異なります。
適切な支援や配慮があれば、さらに多くの職種で活躍できる可能性があります。
面接の工夫
筆談や手話通訳の用意など、コミュニケーション方法を工夫することで、候補者の能力を正確に評価できます。
採用基準の明確化
必要な能力に焦点を当て、不必要な制限(例えば、実際の業務遂行に必要のない学歴を求めたり、柔軟な勤務形態が可能な業務でも、一律に固定の勤務時間を設定したりすること)を設けないようにしましょう。
採用後
1.安心して働ける環境づくりをサポート
入社後のサポートとして、安心して働ける環境づくりは欠かせません。
サポートの最初として、社内に障がい者職業生活相談員を配置し、働く中で生じる様々な課題や不安について気軽に相談できる窓口を設置することが必要です。
定期的な面談の機会を設けることで、日々の業務における困りごとや要望を丁寧に聞き取り、それに応じて適切にサポートします。
さらに、健康管理については特に注意を払い、個々の状況に応じて勤務時間や業務内容の調整などを柔軟に行うことが大切です。

さらに、職場全体で障がい者に対する理解を深めるための取り組みも重要です。
例えば、全社員向けの意識啓発研修を実施したり、障がいのある従業員との交流会を定期的に開催したりすることで、共生社会の実現に向けて一歩を踏み出すことができます。
このような多方面からのサポート体制を整えることで、障がいのある従業員が自身の能力を最大限に発揮し、長期的に活躍できる職場環境が実現できます。
ひいては、企業の生産性向上や多様性の推進にもつながることが期待できます。
2. コミュニケーション戦略:誰もがスムーズに意思を伝えられる職場に
- オープンなコミュニケーション
障がいについて意見を言いやすい、質問しやすい、労働環境について改善提案がしやすい雰囲気づくりを心がけましょう。 - 多様な意思伝達手段を考える
障がいの種類によって、聴覚だけでは意思伝達できない場合があります。視覚的な指示や文書での伝達など、適切なコミュニケーション方法を選びましょう。 - 相互理解のための研修
採用後も引き続き、上層部、同僚向けに障がい理解研修を定期的に実施し、相互理解を深めましょう。

3. キャリア開発と評価:成長を支援する
障がい者雇用の定着率を上げる、つまり障がい者が長く就労できるようにするためには、キャリア開発と評価において、障がいのある従業員の成長を支援することは非常に重要です。
まず、一人ひとりの特性や希望に応じた個別のキャリアプランを策定し、長期的な成長をサポートすることが必要です。
また、評価制度においては、障がい特性を適切に考慮しながらも公平性を確保することが求められます。
さらに、従業員の能力開発を促進するため、研修やスキルアップの機会を積極的に提供することも大切です。
これにより、障がいのある従業員が自身のキャリアを主体的に築いていける環境を整えることができます。
4. 職場適応のための具体的施策

職場適応を円滑に進めるための具体的な施策として、ジョブコーチの活用が効果的です。
ジョブコーチとは、障がい者就労支援センターなどから派遣され、職場定着に向けた実践的なサポートを提供する役割を果たします。
職場での仕事の進め方や職場内でのコミュニケーションの取り方などを指導し、障がいのある従業員と受け入れている企業の両方にアドバイスを行います。
こういった専門家による適切なサポートを受けることで、職場への適応をより確実に進めることができます。
また、業務の習得においては、最初は比較的簡単な業務からスタートし、習熟度に応じて徐々に業務範囲を広げていく段階的なアプローチが有効です。
さらに、在宅勤務や時短勤務など、個々の状況や特性に応じて柔軟な勤務形態を導入することで、より働きやすい環境を整えることができます。
このような細やかな配慮により、一人ひとりが安心して能力を発揮できる職場づくりが可能となります。
5. 法的義務と支援制度の活用
障害者雇用促進法は、企業が理解し遵守すべき法令です。
この法律に基づき、企業は法定雇用率を満たすよう努める必要があります。
企業の取り組みを支援するため、雇用に伴う経済的負担を軽減するための様々な助成金制度が用意されています。
さらに、障害者雇用に積極的に取り組む企業を評価する認定制度を取得することで、企業イメージの向上にもつながります。
これらの制度を適切に活用することで、より充実した障がい者雇用の実現が可能となります。
成功事例から学ぶ
株式会社SHIFT(本社:東京都港区麻布台1-3-1)は、ソフトウェアの品質保証、テストを事業としている企業で、「才能や能力を活かして、みんなが活躍できる社会の実現」というミッションのもと、障がい者雇用に成功しています。
成功要因と考えられるポイントは以下の通りです。

- 多様な業務の提供
テスト、システム開発、動画編集、事務作業など、200を超える業務を20のチームで展開しています。 - 適材適所の人材配置
メンバーの得意分野を尊重し、個々の強みを活かせる業務をアサインすることで、高いパフォーマンスを実現しています。 - 独自の評価システム
障がいのある方向けの評価ガイドラインを設け、成長を実感できる仕組みを構築しています。 - きめ細かなサポート
専門資格を持つマネジメントメンバーが、個々の状況に応じた丁寧な支援を行っています。
これらの取り組みにより、85.2%の高い定着率と、法定雇用率を上回る2.42%の実雇用率を達成しています。
また、日本HRチャレンジ大賞「採用部門優秀賞」や東京都「心のバリアフリー」好事例企業に選出されるなど、外部からも高い評価を得ています。
最後に:継続的な取り組みが大切
障害者雇用の定着率向上は、一朝一夕にできるものではありません。
採用前から定着後まで、継続的な取り組みと改善が重要です。
成功の鍵は、個々の障害特性を理解し、柔軟に対応することです。
この取り組みは単なる法的義務の履行だけでなく、企業の成長につながる重要な経営戦略となります。
SHIFTの事例が示すように、適切な環境整備と支援体制の構築により、障がいのある従業員の定着率は向上し、健全な企業経営に貢献することができます。
本記事が、これから障がい者雇用に取り組む企業様の参考になりましたら幸いです。
とはいえ、何から手を付けたらいいのか、悩まれるご担当者様もいらっしゃることと思います。
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